【はじめに】
歯科医院を開業・運営する上で、「どの年代の患者層をメインターゲットにするか」は非常に重要な判断材料となります。
小児歯科に注力するのか、高齢者を中心にした訪問歯科に力を入れるのか、それぞれに適した診療体制や設備、スタッフ体制が求められます。
この記事では、小児中心・高齢者中心それぞれの診療傾向や特徴、運営上の注意点について整理し、これからの歯科医院経営の方向性を考えるヒントをご紹介します。
【小児中心の診療傾向と特徴】
小児歯科をメインに据える医院は、地域に若い子育て世代が多いエリアや、保育園・小学校に近い立地で多く見られます。
定期的なフッ素塗布や予防処置、乳歯のむし歯治療、矯正相談などが主な診療内容となります。
小児中心の診療には以下のような特徴があります:
- 予約キャンセルが比較的多い(保護者の都合や体調不良による)
- 患者の継続来院を促す工夫が重要(スタンプカード、イベントなど)
- スタッフに子どもの対応力が求められる(声かけ、緊張緩和など)
また、親御さんの信頼を得ることが医院の評価にも直結するため、丁寧な説明や親しみやすい雰囲気作りが欠かせません。
【高齢者中心の診療傾向と特徴】
一方で、高齢者をメインとした歯科医院では、義歯の作製・調整、口腔ケア、定期管理、さらには訪問診療などが主な柱になります。
超高齢社会が進む中、こうしたニーズはますます増加傾向にあります。
高齢者中心の診療には以下のような特徴があります:
- 病歴や服薬状況への配慮が不可欠
- 通院困難な患者への訪問対応が求められることも
- 患者の紹介が多く、地域連携が重要
高齢者の方々は通院頻度が高く、健康維持への関心も高いため、信頼関係を築くことで長期的な患者として定着する傾向があります。
また、施設との連携や訪問スケジュールの調整など、診療外のマネジメントも重要になります。
【どちらを選ぶかのポイント】
では、小児中心・高齢者中心のどちらを選ぶべきか。
これは単に「得意分野」や「やりたいこと」だけでなく、医院の立地や周辺人口構成、将来的な人口動態などを踏まえた戦略的な判断が求められます。
以下のような視点から検討することをおすすめします:
- 周辺地域の世帯構成(子育て世代が多いか、高齢者が多いか)
- 競合医院の診療傾向(差別化ポイントの把握)
- 自身のキャリアプラン(小児矯正を極めたいのか、地域医療に貢献したいのか)
- スタッフの特性(保育経験者がいる、訪問経験があるなど)
【複合型も視野に入れる】
実際には「小児専門」「高齢者専門」といった完全な区分ではなく、双方のニーズに応じた診療を行う医院も増えています。
特にファミリー層とその親世代が一緒に通いやすい環境を整えることで、家族ぐるみの患者獲得につながります。
その場合、院内のゾーニング(キッズスペースの確保、高齢者向けのバリアフリー設計)や診療時間の工夫(放課後や夕方の小児枠、午前中の訪問診療枠)などの工夫が必要です。
【まとめ】
医院の診療傾向は、今後の運営方針や収益構造に大きく影響します。
小児中心か高齢者中心か、あるいは両方をバランスよく診療するか。
正解は一つではありませんが、地域の特性と自身の診療スタイルを見極め、継続的に地域に求められる医院づくりを目指すことが大切です。
まずは現在の医院の診療状況や地域ニーズを整理し、方向性を明確にするところから始めてみましょう。
記事監修者:池田直史
D’s Agency代表 https://dsagencynet.jp/
株式会社increw 代表取締役 https://increw.jp/
歯科業界特化型エージェント(就職サポート)として、15年のキャリア。 歯科衛生士学校、デンタルショーで歯科衛生士のキャリアについての講演実績あり。 FEEDNOTE、月刊歯科衛生士への寄稿歴あり。 累計1000名以上の求職者相談、2000件以上の歯科医院の採用相談を受ける。
「歯科業界に正しい就活リテラシーを」という想いから、ディーズエージェンシーを設立。 現在、転職就職サポートの活動とともに歯科医院の現役事務長としても活動。 歯科医院のことも外側からも中側からも支える。
歯科開業医向けセミナーニッチの会主催(現在累計30回開催、のべ800名が受講)
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